従業員の健康管理は、これまで身体的な側面に重点が置かれてきました。しかし、1998年に自殺者が3万人を超えたことなどを機に、心の健康管理の重要性を訴える気運が高まり、ストレスチェック制度が昨年始まりました。企業は、従業員の心の健康状態を年一回調べることが義務付けられました。企業は形式的なチェックで終わらせることなく、実効性のある対策につなげなければなりません。
厚生労働省が推奨する57の質問に答えてもらい、精神的な負担の程度を点数やグラフにして本人に通知します。従業員50人以上の企業が対象となります。ストレスが高いと判断された場合は、本人からの申し出があれば、医師による面接指導が実施されます。企業は医師の助言を踏まえて、従業員の業務の負担を減らしたり、就業環境の改善に役立てたりします。新制度では、受検しないことを理由に不利益な扱いをするのを禁じています。企業側には、従業員に対し制度の趣旨を丁寧に説明するとともに、外部カウンセリングを紹介するなど、安心して受検できる体制づくりが求められます。
(2016年1月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
アーカイブ
カテゴリー
カレンダー