スマホの長時間使用で起きるスマホ老眼が増えてきています。遠くがぼやける、手元が見にくくなるなど、いわゆる老眼に似た症状が出ます。さらに頭痛やめまい、吐き気などが起こることがあります。スマホ老眼の原因は、物を見るときにピントを合わせ目の機能と深く関係しています。
ピントの調節を担う水晶体は、透明な目のレンズで弾力があり、周囲を毛様体筋が取り囲んでいます。毛様体筋はレンズの度を調節する働きを持っています。遠くを見る時は緩んでリラックスしていて、近くを見る時には縮んで水晶体を膨らませます。水晶体と毛様体筋のいずれかに異変が起きると、ピント調節に不調をきたします。パソコンやスマホの長時間作業により、毛様体筋が凝り固まった状態になり、ピントが合いにくくなって目のかすみなどを訴えます。細かい文字を至近距離で見るうえ、ゲームなど長時間集中して見続けることも多くなってしまいます。重症化すると眼精疲労や頭痛、肩こり、吐き気などで日常生活に支障をきたします。
スマホは目から30~40㎝離すことが大切です。目が疲れた時、窓の外の看板など遠くを1時間に2~3回じっと見ることも必要になります。入浴時にタオルで目の周囲を温めると血行改善を促すことも効果的です。目の機能維持に役立つポリフェノール類を含む食品を積極的にとるのも、目の疲労回復に役立ちます。
(2018年1月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)