スマートフォン(スマホ)を使って医師の診察を受けるオンライン診療の保険適用が2018年4月から始まりました。半年以上が過ぎ、通院が難しい高齢者や忙しい会社員などの間で、デジタルのメリットを生かした利用が広がってきています。システムを開発する企業も増え、医療機関も導入しやすくなってきています。単純なテレビ電話機能だけでなく、患者が日々、血圧や脈拍などを入力したり、写真を撮って医師に送信したりすることも可能になってきています。
オンライン診療が保険適用になったといっても、全ての患者に適用されるわけではありません。糖尿病といった生活習慣病などに限られています。6カ月間は治療を受け続けていることや、約30分以内に通院できる場所に住んでいること、といった条件まであります。うつ病やアトピーは、患者が長い間受診する必要があります。しかし、保険の対象外です。保険適用の対象を広げるといった規制緩和の追加を求める声は高まっていますが、壁は高いものがあります。厚生労働省や日本医師会は、オンラインは対面診療の補完であると強調しています。本格的な変更には消極的な姿勢を示しています。
(2018年11月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)