タイでの代理出産

    法規制の無かったタイは、以前より代理出産大国と言われてました。代理出産を請け負う貧しい女性たちは、ボランティア精神のもとに商業主義的な代理母になり、金銭を受け取っていました。これまでわが国のクライアントは、米国で代理出産を依頼することが多かったのですが、最近では費用が安いこともあり、タイで代理出産することが多くなってきています。日本人の実業家男性が16人もの赤ちゃんを産ませていたケ-スが発覚し、大きな社会問題になりました。またオ-ストラリア人夫婦が、タイ女性に代理出産を依頼し、ダウン症であったことを理由に双子の1人を引き取らなかった事件も報道されました。さらに、外国の同性カップルが求めた赤ちゃんが、約400人も国内にとどめ置かれているなど異常な状況にあります。
 タイでは、これらのケースが規制の直接なきっかけとなり、219日に代理出産規制法が可決しました。それによれば、夫婦ともにタイ人でない場合、タイでの代理出産を禁じることになりました。当初は、代理母がタイ人でなければ、外国人が代理出産することを認めるとされていましたが、これを禁じました。代理出産の本来の必要性を主張し、扉を閉ざすべきでないとする医療関係者の意見は拒否されました。代理出産は、他の女性に妊娠や出産のリスクを負わせることになり、医学的にも倫理的にも問題が多い。しかし、法律で禁じたとしても、代理出産を希望するクライエントは存在し、子どもが生まれてきます。そうして生まれた子どもを違法な子どもとして扱うことはできないと思われます。

(吉村 やすのり)

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