女子大で、戸籍上は男性でも性自認は女性のトランスジェンダー学生の受け入れが広がってきています。お茶の水女子大は、2020年度から戸籍上は男性でも女性と自認する学生の受け入れを始めています。出願前に自己申告書や住民票などを提出してもらいます。個人が特定されないよう、実際にトランスジェンダー学生が入学したかは明らかにしていませんが、高校生などからの問い合わせは増えているとのことです。
また、性的少数者が過ごしやすい環境づくりは、男女共学校が先行していました。国際基督教大学は、2012年にLGBT学生向けの生活ガイドブックをウェブで公表しています。早稲田大学も、2017年からall genders(全ての性別)と表示した多目的トイレ設置などを進めています。女子大は、トランスジェンダーの受け入れが遅れていました。共学校は入学時点で性別を問うていません。
潮目が変わったのは、2017年に日本女子大学が多様性をテーマにした学術交流会を開いたことによります。現在までにお茶の水女子大学、日本女子大学、奈良女子大学、宮城学院女子大学が受け入れを表明しています。津田塾大学も検討を進めています。
日本の大学では、LGBT支援はまだまだ進んでいません。ほとんどの大学は、担当部署や相談窓口がなく、多くの学生が苦しんでいます。多様な学生が集うキャンパスをつくるため、支援の手を広げることが求められています。性別をカテゴライズできない人がいることを理解することが大切になります。
(2021年9月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)