ドイツ連邦議会(下院)が3月、大手企業に監査役の30%を女性にすることなどを義務付ける法案を可決しました。監査役会は日本と異なり、取締役の選任や解任などの権限を持っています。法成立以来、企業はこぞって女性の幹部登用に動き出しています。ドイツ経済界にも日本と同様に、女性比率を強制的に定めても男性中心の現状を打破する根本的な解決にならないとの声が根強くあります。それでもメルケル政権が踏み切るのは、幾度となく策を講じても女性登用がほとんど進まなかったからだそうです。
監査役は、株主総会が選ぶ人と従業員や労働組合が選ぶ人で構成されています。2016年からは双方に、30%の女性選出を義務付けています。未達の場合でもノルウェ-のように解散命令などの罰則はありませんが、女性の適任者がいなくても男性は就けず、空席となります。達成できなかった企業は、理由などを公開が必要することが求められています。女性がもともと少ない産業や企業があり、一律の数値目標を強制するのは逆効果とする意見もあります。数値目標をめぐっては、日独とも賛否両論あります。企業のイメ-ジ戦略のためでなく、自社が競争力を高めるためにやるのでなければ意味がありません。
(2015年11月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)