唾液の分泌量が低下し、のどが渇いたり口の中が乾燥し、痛みや不快感が起こる病気です。女性と高齢者に多いとされています。背景には高齢化の進展とストレスの増加がありますが、近年は多くの薬を服用することによる副作用が目立ちます。唾液は、食物の消化、そしゃく・飲み込み、口腔内細菌の制御(洗浄・殺菌)、口腔粘膜の保護などの役割を果たしています。ドライマウスになると虫歯、歯周病のリスクが高まるほか、口の中の乾燥感・不快感や口腔カンジダ症などの感染症、味覚障害、舌の痛み、摂食、嚥下障害などが起こります。
ドライマウスの原因は様々ですが、①唾液腺自体の機能障害によるもの②神経性あるいは薬物性のもの③全身疾患あるいは代謝性のものに大別されます。専門外来などでは、問診のほか、唾液分泌量の測定、血液検査、唾液腺の画像検査などを行います。症状に応じて、唾液の分泌を増やす薬剤の処方や洗口剤、人工唾液などによる粘膜の保湿、マッサ-ジなどによる唾液腺の刺激等が指導されることになります。
(2015年9月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)