ノートテイクの支援の広がり

 ノートテイクは、授業の音声などをパソコンや手書きで文字に起こし、耳が不自由な学生に伝える活動です。学生主体の取り組みでしたが、2000年代に入ると後押しする大学が増加しています。昨年4月には障害者差別解消法が改正され、私立大学にも合理的な配慮の提供が義務づけられ、活動の裾野が広がりました。大学主導の場合は有償ボランティアが一般的です。

 日本学生支援機構によれば、聴覚・言語障害のある学生は2,077人に上り、10年前の1.3倍に増えています。ノートテイカーが活動する四年制大学は247校で、全体の3割にとどまっています。支援体制がなく志望校への進学を諦める学生がいる可能性があります。近年は、ノートテイクを文字起こしソフトの活用に切り替える大学も出てきています。

 ノートテイカー経験者は企業でも活躍しています。学生時代に身につけたノートテイクの経験は社会に出てからも生きます。多様性の大切さを知る若者を増やすためにもノートテイクの活動は大切です。障碍者を支援した経験を持つ人材が社会に出ていくことが、障害者が過ごしやすい社会づくりにつながっています。

(2025年2月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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