パタハラとは、パタニティー・ハラスメントの略です。パタニティー(Paternity)は英語で“父性”を意味します。男性が育児参加を通じて自らの父性を発揮する権利や機会を、職場の上司や同僚などが侵害する言動におよぶことを、パタニティー・ハラスメントと呼びます。女性社員の妊娠・出産が業務に支障をきたすとして退職を促すなどの嫌がらせをすることを指すマタハラに対して、パタハラは男性社員が育児休業をとったり、育児支援目的の短時間勤務やフレックス勤務を活用したりすることへの妨害、ハラスメント行為を指します。
3年前の育児介護休業法の改正により、男性の育休取得の対象範囲も広がっています。労使協定による専業主婦除外規定が廃止され、妻が専業主婦の場合や、育休中であっても、夫は育休を取れるようになりました。加えて各企業においても、仕事と育児の両立支援に資する制度の整備、拡充が進んでいます。意欲もあり、制度も整いつつあるにもかかわらず、実際の取得率はわずか2%にとどまってます。「男性が育休をとると出世にひびく」「子どもの面倒は妻が見るのが当たり前」といった先入観や偏見から、上司が部下の育休取得を認めないなど、男性の育児参加を妨げるような言動におよぶ、いわゆるパタニティー・ハラスメントとが、多くの職場にまん延しています。実際、男性の育休取得に対する職場の抵抗感は根強いものがあります。女性より男性の方が、育休を取得することに対して不快に思う人の割合が高く、正に男の敵は男です。
(吉村 やすのり)