パワハラの防止

厚生労働省の有識者会議は、パワハラ防止策を法律で企業に義務付けるかどうかを検討しています。パワハラを、職場内の優位性を背景に業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりする行為と定義しています。暴言などの精神的な攻撃や過大な要求といった典型的な行為を6類型にまとめています。セクハラやマタハラは、法律で企業に防止措置を義務付けていますが、パワハラにはこうした規定がありません。
パワハラの被害は年々増えています。全国の労働局や労働基準監督署に寄せられる相談件数は右肩上がりで増加しています。心の病を患い、労災認定された人は2016年度は498人で、2年ぶりに過去最多を更新しています。原因別にみると、職場でのパワハラを含む嫌がらせ、いじめ、暴行が最も多く、74件にのぼっています。企業で働く人の3人に1人が過去3年間にパワハラを受けたことがあると回答しています。パワハラ防止策を法律で義務付けるか、法的強制力を持たない指針の策定にとどめるかがカギを握っています。

(2018年3月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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