近年、海外からHPVワクチンに関するエビデンスが続々と報告されています。代表的な結論は、①子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)の減少(米国、スコットランド、スウェーデン、オーストラリア)と②HPV感染率の減少(米国、イングランド)です。米国のHPVワクチン接種プログラム導入前後における高度子宮頸部病変の発症率は15~19歳、20~24歳の年齢群において有意に減少しています(図1)。また、オーストラリアのHPVワクチン接種プログラム導入後におけるHPV感染率は、ワクチン非接種者群も含めてワクチンタイプHPV型の相対感染率が著明に減少し、集団免疫獲得が示されています(図2)。
一方、国内では子宮頸がんによる死亡率の増加が加速している中、宮城県において子宮頸部細胞診でASC-US以上と判定された人の割合は、HPVワクチン接種者(8/332)、非接種者(148/2,940)であり、HPVワクチン接種により52.1%の有意な減少を認めています(図3)。
(日本産婦人科医会報 第69巻第3号№795)
(吉村 やすのり)