京都大学の斎藤教授らは、人の胎児の卵巣の細胞を体外で培養し、卵子のもとになる原始卵胞を作製しました。研究チームは、カニクイザルの胎児の卵巣から採取した約5万個の細胞の塊を、液体に浮かべて培養することで原始卵胞ができることを見い出し、ヒトの中絶胎児の卵巣で同様の方法を試したところ、14週間後に卵胞ができました。
ヒトの卵子ができるまでの過程は大きく3段階あります。まず発生初期の胚にある始原生殖細胞や初期の胎児の卵巣にある卵原細胞ができ、それが成熟すると女性の卵巣にある原始卵胞になります。さらに思春期以降に一部の原始卵胞が育って成熟した卵子ができます。
現在このグループは、iPS細胞を使って人の体外で卵子を作る研究を進めています。2018年には、iPS細胞で作った初期の生殖細胞から卵原細胞を作ることに成功しています。今後は、iPS細胞から卵胞を作ることを目指しています。
(2022年8月2日 読売新聞)
(吉村 やすのり)