ヒト型ロボットとは、人間の姿に似せた二足歩行ロボットでカメラやセンサーで周囲の状況を把握します。AIの性能進化で物の運搬や組み立て作業をこなすようになってきています。自動車大手などが工場作業員として試験導入を始めています。オフィスや家庭などでも働き手として普及が進めば、人手不足の解消につながる可能性を秘めています。経験豊富な熟練工を代替するようになれば、人間は車工場から姿を消す可能性があります。長期的には普及台数は100億台に達するとされています。
かつてはホンダのASIMOなど、ヒト型ロボットは日本企業が強い分野でした。現在は米国と中国のテック企業を軸に開発競争が進んでいます。米スタートアップのフィギュアAIは、2024年に米マイクロソフトや米オープンAIから計6億7,500万ドル(約1,000億円)を調達しています。将来的には1台数百万円程度に価格が下がるとの予想もあります。
ただ飛躍的に性能が高まるAIの頭脳に対して、肉体の性能を左右する電池やモーターの技術革新はそれほど進んでいません。主なヒト型ロボの駆動時間は2〜4時間程度に限られています。人間のような複雑な動きを持続させるためには、部品類の技術改良に時間がかかります。

(2025年6月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)