ロボットの制御に生成AIを活用する試みが広がっています。米グーグルが、言葉で動作を指示できるロボットアームの開発を進めるほか、NTTは自律的に行動する配膳ロボットの開発を目指しています。独調査会社のスタティスタによれば、2020年に48億ドルで約7,200億円だった市場規模が、2030年には7.6倍の368億ドルに膨らむと予想しています。
Chat GPTをはじめとする生成AIの登場は、ロボット姿を様変わりさせる可能性を秘めています。人間の言葉を理解して自律的に動作する頭脳が備われば、人間と一緒に働けるパートナー型のロボットの実現が近づきます。生成AIの開発を主導する米テクノロジー企業は、こぞってヒューマノイドと呼ばれるヒト型ロボットの開発に力を注いでいます。目、耳、腕などの身体性を手に入れたAIが、人間と共存する日が近づきつつあります。
ヒューマノイドの普及に必要なブレークスルーは、人間の触覚に相当する機能の開発です。今後は従来の大規模言語モデルが扱ってこなかった触覚に関連するデータの重要性が高まると考えられています。
(2024年3月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)