ビジネスケアラーの増加

 働きながら親などを介護するビジネスケアラーが増え、仕事と両立が困難になって離職する人は年10万人になっています。経済産業省によれば、働きながら家族を介護するビジネスケアラーは、2015年の232万人から2030年には318万人と約1.4倍に増えます。もはや家族介護は個人の問題ではなく、企業における大きな課題となっています。

 国は、4月に育児・介護休業法を改正、仕事と介護の両立を支援する制度についての早期の情報提供などを企業に義務付けましたが、どう対応すべきか分からないという企業は多いと思われます。介護休業は、要介護者1人につき通算93日、条件を満たせば給付金も出ます。介護休暇は年5日です。基本的に介護認定の申請や施設の見学など介護体制を整えることが目的ですが、自ら介護をするための休みと誤解する人は多くなっています。休めることの情報発信を柱とする法改正は行われましたが、誤った認識のままだとかえって離職を後押ししかねない状況にあります。

 離職を減らすには個人の意識改革も必要です。ダスキンの介護白書2025によれば、親世代に自分が介護状態になったらどのような方法で介護されたいか聞くと、家族・親族との答えは27.5%です。一方、子世代に親族が要介護になったらどのような方法で介護したいかと聞くと、家族・親族による介護が58.3%で、子の方が親の介護意向は強くなっています。

(2025年10月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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