ピロリ菌は、胃の粘膜に生息する細菌です。胃がんや慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因になるとされています。ほとんどは幼児期に口から感染し、食べ物の口移しも原因の一つと考えられています。現在、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃炎がある場合は、公的医療保険による除菌の対象になります。世界保健機構(WHO)は、2014年に胃がんの8割はピロリ菌感染が原因とみなされるとの報告書を出しています。
将来の胃がん予防のため、中学生を対象にピロリ菌の検査・除菌に乗り出す自治体が出てきています。しかし、ピロリ菌感染者が、必ずしも将来胃がんになるわけではなく、若い世代への除菌が胃がんを減らす効果はまだ実証されていません。しかも、除菌に使われる薬には副作用もあり、デメリットを含めた正確な説明が必要となります。
(2016年11月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)