組織に属さずに働くフリーランスから会社員への転職が増えています。人材大手のリクルートとパーソルキャリアでは、2024年4~9月の仲介人数がそれぞれ5年前の3倍近くに達しています。フリーランスは増えましたが競争も激しく、会社員回帰が進んでいます。
背景にはフリーランス側と企業側の双方の事情があります。まずはフリーランスの競争激化です。加えて物価高が響いています。フリーランスで働く障壁として収入が安定しないとの回答は31.5%に達しています。かねてリスクだった収入の変動幅の大きさに足元の物価高が重なり、会社員への揺り戻しが起きています。
企業側は人手不足をなお課題に抱えます。帝国データバンクの調査によれば、2024年10月時点で正社員不足を感じている企業は全体の51.7%を占めており、転職人材に熱視線を向けています。専門性を優先して職務を限定するジョブ型雇用やリモートワークを導入し、柔軟に働ける環境を整えています。
(2024年12月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)