フレイル予防

今年4月から、75歳以上の高齢者を対象に、要介護になる手前の状態かどうかを判断するフレイル健診が始まっています。15項目の質問票で要介護”予備軍”を見つけ、個別指導や医療機関の受診につなげます。従来の健診の質問票は、肥満対策が中心の特定健診であるメタボ健診と同じ内容でしたが、厚生労働省は、75歳以上の後期高齢者に特化し、フレイルの早期発見に重点を置いた内容に刷新しています。
質問は、6カ月間で2~3㎏以上の体重の減少があったか、今日が何月何日か分からない時があるか、家族や友人との付き合いがあるかなどの身体の状態や認知機能、生活習慣に関する15項目となっています。健診の結果なども活用し、フレイルの恐れがある高齢者を判断します。対象となった高齢者は、自治体の保健師らが自宅を訪問し、生活指導や医療機関の受診につなげます。
全国的には、後期高齢者向けの健康診査の受診率は、3割程度にとどまっています。今年は新型コロナウイルスの影響で、健診を一時休止する自治体も相次いでいます。フレイルの質問票を活用した保健指導も当初の想定より遅れています。また、新型コロナの影響で、外出機会が減り、家に引きこもりがちな高齢者が増えています。
国がフレイル対策を進める背景には、高齢者が増える中介護を必要とせずに生活できる健康寿命を延ばし、膨らみ続ける社会保障費を抑える狙いがあります。健康寿命は最新の2016年で男性が72.14歳、女性が74.79歳です。国は、2040年までにそれぞれ3年以上延ばす目標を掲げています。

(2020年8月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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