ブタの心臓の移植

米メリーランド大のチームは、重い心臓病の57歳男性に、免疫拒絶が起きないよう遺伝子操作したブタの心臓を移植しました。世界で初めてです。手術から3日後の今も患者の経過は現在のところ順調ですが、長期的予後については予断を許しません。米国でも移植のために提供される心臓は不足しており、注目されています。
患者は不整脈で1カ月半入院しており、生命維持装置であるエクモを使っていました。心臓移植を受けられず、人工心臓も装着できなかったため、今回の移植以外に助かる手段がない状態でした。昨年末、FDAが手術を認めていました。
動物からの臓器移植は異種移植と呼ばれ、一般的には免疫拒絶されてしまいます。そのため、人間に移植した場合に拒絶反応を引き起こす遺伝子の機能を失わせた上、人間の遺伝子を挿入して体に受け入れられやすくするなど10個の遺伝子を操作しています。手術後の免疫反応を抑えるため、未承認の薬も使用しています。

(2022年1月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。