欧州では、ごみ削減やリサイクルは環境対策であり、かつ、経済対策と考えられるようになっています。循環経済で主導権を握り、製品のあり方や消費者の行動を変えていく様子は、気候変動対策と構図は同じです。循環経済でも先行し、欧州企業が活躍できる市場を創造しようとしています。
廃プラスチックのリサイクル率でスペインは42%、ドイツは38%、EU平均は32%です。いわゆるごみのリサイクル率でも、ドイツは67%で、オランダなども高くなっています。日本は焼却の技術に優れており、廃プラ処理では熱エネルギーを活用して、リサイクル率は8割と説明してきました。しかし、燃やせば温暖化ガスが出てしまいます。欧州などではエネルギー利用などとされ、リサイクルの定義に当てはまりません。国際基準では、日本のリサイクル率は25%にまで落ちてしまいます。ごみでも20%程度にとどまっています。
プラスチックは衛生的との考え方から1950年代に本格的な利用が始まり、2015年の排出量は3億tにもなっています。廃プラが野生生物の胃袋から見つかるなど環境汚染の深刻さが認識される一方で、生活に欠かせない素材となっています。世界中がプラスチックを使い続けると、石油消費量に占めるプラスチック利用のシェアが、2014年の6%から2050年には2割になり、石油への依存度が高まります。焼却処分すれば、温暖化ガスの累積排出量に占める割合も、2014年の1%が2050年に15%に達してしまいます。
(2021年10月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)