直径が5㎜以下の微細なマイクロプラスチックは、回収・リサイクルされず海に流出したペットボトルやレジ袋、ポリエステルを含む衣料品などに含むプラスチックが、太陽光の熱や紫外線、波の力などで一部が細かく砕けてでき、海洋汚染の主要な問題になっています。マイクロプラスチックは、かつて家電製品などに使われたポリ塩化ビフェニール(PCB)などの有害物質を吸着する性質があります。有害物質を含んだマイクロプラスチックを魚などの海洋生物が食べることで、生態系への悪影響が懸念されています。
2019年のG20首脳会議で、新たなプラの海洋汚染を2050年までにゼロをめざす目標が採択され、現在80カ国以上と共有しています。環境省の2016年度の調査では、国内の海洋ごみの個数でプラが7割近くを占めています。プラは安価で腐食に強い扱いやすい素材ですが、自然界では非常に分解されにくく、環境負荷低減にはリサイクル徹底のほか、包装材の使用見直しなど産業界全体の動きが不可欠です。
ソニーは、商品の包装材でプラスチックを全廃します。2023年度にスマートフォンなどの小型商品で始め、将来的にはテレビなど大型商品も含めてプラ使用をやめるとしています。国内電機大手でプラ包装の全廃を掲げるのはソニーが初めてです。国内では、脱プラは非製造業を中心に進んできたが製造業にも広がっています。
環境意識の高まりから脱プラスチックの動きが世界的に加速しています。EUは、2030年までにプラ包装を域内で無くし、全ての再利用・再資源化をする方針を打ち出しています。米アップルは、2021年度の商品の包装材に占めるプラ比率を4%までに低減しています。2025年度までに全商品の包装材でプラを全廃する方針です。
(2022年11月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)