妊娠した働く女性に嫌がらせをしたり、退職に追い込んだりすることをマタニティーハラスメント(マタハラ)という。マタハラには、妊娠を告げた途端、仕事を次々と外されたり、上司や同僚からの暴言などの精神的嫌がらせ、体調不良を訴えても無視されたり、過大な業務を命じられるなどの身体的嫌がらせ、子どもができたら家庭を優先すべきではと退職を促されるなどの社会的嫌がらせなどがある。また不妊治療のための通院が認められず、会社を退職しなければならないケースも多い。
働きながら妊娠した経験を持つ女性の4人に1人がマタハラの被害経験があるとされている。また妊娠して職場にいると迷惑がかかると思い込み、我慢してしまう人も多い。わが国のおかれている少子化の危機的状況を考えると、企業の意識改革が必要となる。妊娠に対しては時短勤務、時差勤務、育休制度の充実などの対策が講じられるべきである。子どもは産んだ女性だけが育てるのではなく、社会が妊娠や子育てを支えるような制度設計が必要となる。
社会と男性の意識改革が強く望まれる。
(吉村 やすのり)