マタハラの実態

 マタニティハラスメントとは、妊娠や出産、育児を理由とした退職強要や降格などの不利益な取り扱いを指し、マタハラと略されます。男女雇用機会均等法は、事業主にこうした不利益を労働者にもたらす取り扱いを禁じています。最高裁は、昨年10月妊娠による降格は原則禁止であり、女性が自由意思で同意しているか、業務上の必要性など特殊事情がなければ違法で無効であるとの初の判断を示しています。厚生労働省は、是正指導に従わない悪質な事業主の実名を公表するなど指導を強化しています。
 厚生労働省が助成を対象に行った初の実態調査によれば、妊娠・出産した派遣社員の48%がマタハラを経験したことがあると回答しています。特に雇用が不安定で立場の弱い派遣社員が被害に遭う割合が高いことが明らかとなりました。マタハラを経験したと答えた人のうち、派遣社員の27%が妊娠を理由とした契約打ち切りや労働者の交代を経験していました。正社員などを含め、解雇されたとの回答が20%に達するなど、深刻な被害実態が浮き上がっています。

(2015年11月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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