不動産経済研究所によれば、首都圏の新築マンション価格は、2021年、2022年と2年連続でバブル期(1990年)を上回る過去最高となりました。平均価格は2022年が6,288万円と、1990年を約3%上回っています。価格高騰は首都圏以外の地域にも広がっています。中古マンションの価格も、2022年の首都圏平均は4,716万円をつけ、2年連続で前年比10%超の値上がりとなっています。
需要を下支えしているのは低金利です。変動型の住宅ローンでは、金利が年0.3%を下回るものまで出てきました。パワーカップルと呼ばれる高所得の共働き世帯も、有力な買い手となり、外国人投資家が高額物件へ手を伸ばすケースも多いようです。実需と投資の両面から高値を支える買い手がいるのです。
既存の物件の老朽化が進んでいます。国土交通省は、築40年以上のマンションが2041年末に約425万戸まで膨らむとみています。工事費の上昇は、老朽マンションの修繕にも反映されるため、管理コストの上昇が懸念されます。新築マンションもいずれは古くなります。多額の住宅ローンを抱えながら、修繕の追加出費を求められる人が出てくる恐れがあります。
(2023年7月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)