ミトコンドリア病に対する核移植

母系遺伝性の難病であるミトコンドリア病に対し、受精卵の核移植を行い、遺伝的に3人の親を持つ子どもが英国で誕生しています。英国政府は、2015年に3人の親をつくる生殖医療を世界で初めて法律で認めています。4月までに5人未満が生まれたとされますが、詳細は明らかにされていません。
母親は、細胞の器官ミトコンドリアのDNAに変異があり、全身に障害が出るリスクを抱え、子どもにも遺伝します。そこで健康な女性の卵子を借り、母親と父親の間にできた受精卵の核を移植しました。生まれてきた赤ちゃんは、両親のDNAと卵子を提供した女性のDNAを持つことになります。英ヒト受精・発生学委員会(HFEA)は、法制化に際し、卵子や精子とは違ってミトコンドリアのDNAが遺伝しても子どもの特性に影響はないなどとし、第三者を組織提供者に近いとみなしています。結果、2人親とその子どもの伝統的な親子関係を守っています。

(2023年6月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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