ミトコンドリア症の核移植容認

政府の生命倫理専門調査会は、人の遺伝情報が含まれる受精卵の核を、第三者の受精卵や卵子に移植する核移植が限定的に認められることになりました。遺伝性の難病であるミトコンドリア病の基礎研究が対象となります。
ミトコンドリア病は、細胞内でエネルギーをつくりだすミトコンドリアの機能が落ちることで起きます。筋力の低下など症状は様々で亡くなることもあります。国内の患者は、推計500~800人で、根本的な治療法はありません。ミトコンドリアのDNAの遺伝情報は母親の卵子から受け継ぎます。
核移植は受精卵の核だけを抜き出し、第三者の正常な受精卵や卵子に移植する手法で、異常なミトコンドリアを持たない受精卵ができます。ミトコンドリア病を予防でき、英国などでもすでに実施されています。しかし、もとの受精卵の核に含まれるカップルと、第三者の受精卵や卵子のミトコンドリアに含まれる女性の計3人の遺伝情報が混ざった受精卵ができてしまうことになります。

(2021年4月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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