メディカルフィットネスの普及は、1992年の医療法改正まで遡ります。かつて国は、病院に対し運動施設などの付帯事業を認めていませんでしたが、これを解禁しました。疾病予防や健康づくりの重要性の高まりが背景にあります。近年、医療機関が運営するメディカルフィットネスが注目されています。医師の処方箋に基づき、専門家が安全な運動法を指導してくれる施設です。外出自粛で高齢者の健康不安が指摘されるなか、医学的な裏付けのある運動施設のニーズは高まっています。
国の要件を満たす施設なら、治療費とみなされ、医療費控除の対象となります。日本メディカルフィットネス研究会によると、医療機関が運営する施設は200カ所あります。一般のクラブが医療機関と連携する施設をあわせると、約350カ所以上になります。各施設は、持病のある高齢者の利用が多いので、検温や消毒はもちろん、人数・時間制限、マシンの間隔を空けるなどのコロナ対策を徹底しています。適度な運動はしたいが、外出は控えたい人が多くなっています。そんな揺れる気持ちを抱えながら、持病の悪化を懸念する人もいます。メディカルフィットネスは、そうした心配を払拭するひとつの手段といます。
(2020年9月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)