厚生労働省の転職者実態調査によれば、転職にあたり7割は何も準備せず、スキルを磨いたり資格を取ったりする人は1割程度にとどまっています。転職前の準備として、特に何もしていないが66%で、準備活動を行ったの2倍以上となっています。準備のうち、資格・免許の取得は4.3%で、スキルアップや資格取得のために、公共の施設を利用、学校等に通う、通信教育で勉強は合わせて1割強にとどまっています。
日本で乏しい転職前のリスキリングを公的に支援する取り組みが、8月にかけて動き出します。経済産業省は、講座の受講費用のうち半額について、上限40万円をサービス事業者に補助します。転職に成功すれば、最大で16万円を追加で支援します。利用者は事業者経由で受講費用を軽くできます。転職を目指していない人は対象になりません。新制度は753億円の予算を確保し、3年間で33万人の支援を目指します。国が民間企業で働く人の転職を促すのは、日本では働く人の移動が乏しいことが経済の課題になっているためです。
労働政策研究・研修機構によれば、日本の雇用者は、勤続年数10年以上が46.8%に達しています。米国は26.9%、英国は30.6%です。日本やイタリア、フランスは同じ職場で長く働く傾向があり、労働移動は少なくなっています。
(2023年7月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)