リチウムイオン電池はスマートフォンや電気自動車(EV)などの電源として欠かせない存在になっています。スマートな社会を代表するインフラといえ、2019年のノーベル化学賞の対象にもなりました。リチウムイオン電池の実用化には、ソニーをはじめとする日本メーカーが重要な役割を果たしました。今では身近なスマートフォンや電気自動車(EV)に欠かせない製品となっています。しかし、韓国や中国勢が台頭し、三つどもえの厳しい競争に発展しています。成長のけん引役の車載向けでも、中国勢の存在感が高まっています。しかし、2000年代半ばから、韓国メーカーの台頭が始まりました。さらに2010年代半ばには、中国メーカーがシェア争いに加わってきました。
電池の生産では、既に技術力の勝負ではなく、大規模な設備投資と生産の効率化が収益を左右する段階になっています。日本勢にとって今後の活路になりそうなのが、安全に関する技術です。中国などでは電池の発火事故が相次いでいます。身に付けるウエアラブル機器やEVでは、電池に求められる安全性が高まっています。安全性に関する国際規格の策定では、日本が主導している分野も多くなっています。
(2019年12月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)