LGBTと呼ばれる性的少数者で、親になる人が増えてきています。特に最近では、レズビアン(女性同性愛者)の人が子どもを産むケースが多くなってきています。女性カップルが子どもを持とうとする場合、男性から精子の提供を受けなければなりません。不妊治療を目的として病院で実施される第三者の精子提供(AID)は、法律上の夫婦でないと実施できません。レズビアンカップルが精子提供を受けようと思えば、日本の場合は知人男性から提供を受けることになります。そのため、個人宅で精子をプラスチックケースなどに採取し、注射器のようなもので体内に入れることが多くなります。精液の採取や運搬時などに衛生上の懸念があり、性感染症のリスクもあります。
日本では同性間の結婚は事実上認められていません。現在レズビアンの女性が男性から精子提供を受けて出産すると、子どもは婚外子となります。男性が認知すれば戸籍上は男性が父親になります。同性婚を認めている国は世界で20ヵ国以上あります。英米豪などは同性カップルが子どもを養子として育てたり、第三者からの精子提供などで子どもをつくる権利を原則認めています。わが国においてもレズビアンカップルで子どもを欲するケースが増えてきていることもあり、今後議論が必要となるかもしれません。その際、実施を許可することになれば、まず婚姻関係を認めることが前提となります。
(2016年4月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)