ロストジェネレーションとは、バブル崩壊後の景気悪化で企業の新卒採用が減らされた1993年から2004年ごろに社会に出た世代をいいます。高卒、大卒などにより年齢幅がありますが、ほぼ現在の33歳から48歳にあたります。団塊ジュニア(第二次ベビーブーマー)を含み、人口規模は約2千万人で、雇用労働者のうち非正規で働く人は3割近くに上っています。社会に出た時期とバブル崩壊後の景気低迷が重なり、希望の職に就けないまま非正規労働者や無職となりました。2010年と2015年の給与額を比較すると、大学・大学院卒の35~39歳、40~44歳で大きく減少しています。ロスジェネ世代は、5歳年上が同じ頃得ていたよりも少ない賃金しかもらえていないことになっています。
現在の30代半ばから40代後半にあたる世代は、いまだ少なくない人々が低賃金に苦しみ、家族を持てず、将来に不安を抱えています。アラフォー・クライシスや中年フリーターといった新たな名もメディアでついています。現実に、未婚率の高さや低収入により出生率は落ち込んだままで、第3次ベビーブームを期待されながら、人口減少の危機を阻めませんでした。もし、この世代が不遇のまま高齢化すれば、生活保護を含めた社会保障コストを激増させることになります。
(2019年5月26日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)