ワクチン接種の必要性

 去年のわが国の風疹の流行は成人を中心に起こった。風疹の定期予防接種は70年代から始まったが、女子中学生を対象としており、現在35歳以上の男性は接種していなかった。また、90年代には当時使用されていたはしか、おたふくかぜ、風疹の混合ワクチン接種後に無菌性髄膜炎を発症するなど、副作用がでたことがあった。そのため94年には予防接種法が改正され、中学生男子も対象となった。しかしながら、集団接種でなくなり、医療機関で個別に接種することとなり、接種率は低くなった。そのため、20~40歳代の男性と20~30歳代の女性には免疫力がない人が多く、昨年風疹が大流行し、31名の先天性風疹症候群がおきてしまった。

 ワクチン接種には必ず副作用や副反応がみられる。これらの反応を強調しすぎることにより、訴訟がおきたり、接種を中断したりすることがある。しかし、一方で、予防接種で防げたはずの感染で、重い後遺症を残す子どもの存在があることも考えるべきである。去年4月より定期接種が開始された子宮頸がんワクチンは、接種後に原因不明の痛みを訴える患者が出たことより現在中断されている。諸外国では副反応のために中断されているような国はなく、10~20年後にわが国の女性に子宮頸がんが好発するような状況にならなければ良いのだが・・・

(2014年1月19日 読売新聞)

(吉村 やすのり)

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