厚生労働省の発表によれば、新型コロナウイルスのワクチン接種後の心筋炎や心膜炎の100万人あたりの報告頻度は、男性の場合、モデルナでは10代で28.8人、20代で25.7人です。一方、ファイザーでは、それぞれ3.7人、9.6人でした。スウェーデンでは30歳以下に、デンマークでも18歳未満にモデルナの接種を一時停止していると報告されています。
専門家の間では、ファイザーを推奨する根拠は不十分だとして慎重な意見が相次いでいます。心筋炎などに関するデータは、ファイザーとモデルナの接種時期や対象者が異なるため、直接的な比較は難しく、スウェーデンやデンマークの判断の根拠となるデータも不明です。同じmRNAワクチンというタイプのファイザーでも、心筋炎などが起きています。
心筋炎や心膜炎は、新型コロナに感染した場合にも起きており、国内の報告頻度は、15~39歳で100万人あたり834人です。これに対し、二つのワクチンはいずれも心筋炎などが起きてもごく稀で、ほとんどが軽症です。いずれのワクチンも、打たないよりも打つほうが利益は大きいことは言うまでもないことです。
(2021年10月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)