ワクチン接種後の有害事象

ワクチン接種後に起こるあらゆる好ましくない出来事を有害事象と呼びます。たまたま接種後に起きた良くないことも含まれます。ワクチンは健康な人に広く接種するので、安全であることがまず求められます。そのため、ワクチン接種後に交通事故に遭遇した、包丁で指を切ったなど明らかに無関係なものであっても、予め決められた基準に基づいて、医師らが症状を報告することになっています。
ワクチン接種と因果関係があると考えられる症状は、副反応と呼ばれます。薬の場合は副作用です。新型コロナウイルスのワクチン接種の場合、感染の発症を防ぐなど、ワクチンに期待される効果は主反応というのに対して、ワクチンによって起きる症状を副反応と呼びます。副反応には、発熱やだるさの他、呼吸困難など重いアレルギー反応が出たケースも報告されています。海外ではとても少数ですが、血の塊が血管につまる血栓症も疑われています。
あらゆる報告された有害事象の報告をもとに、国の会議で専門家がワクチンが原因かを判断し、安全対策などにつなげます。しかし、すぐに判断がつくものばかりではないから、本当に副反応だとわかるには、時間がある程度かかります。副反応も有害事象の一部ですが、副反応とするには科学的エビデンスに基づく慎重な判断が必要となります。子宮頸がんに対するHPVワクチン接種では、知覚障害、歩行障害、痙攣など様々な副反応が問題となり、2013年以来、積極的勧奨が中止されたままになっています。HPVワクチン接種後に起こる副反応についても有害事象と考えられる出来事もあり、因果関係が科学的に明らかにされない場合は、副反応とすべきではないと思われます。

(2021年4月13日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。