東京商工リサーチがまとめた2018年の女性役員比率調査によれば、上場企業3,490社のうち女性役員がいない企業は、6割を超えています。東証株価指数(TOPIX)100を構成する企業の女性役員比率は、2017年時点で6.5%です。その比率は、OECDの中でも最も低水準です。女性だから登用するでも、女性だからだめでもなく、男女区別せず、能力で評価し登用する仕組みが本来のあるべき姿です。しかし、現実には無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)が、女性の十分な活躍を阻むケースがまだまだ多くなっています。
そんな中で、企業の女性役員比率の3割達成を目指す30%クラブが、日本で始動しています。既に30%を達成した企業からは、トップの決断や男女を区別しない能力評価を反映した結果との声が挙がっています。30%クラブは、TOPIX100社の取締役会に占める女性の割合を2020年末に10%、2030年末に30%にする目標を掲げています。数値目標があることで、組織はより良い男女比率を目指すための活動に専念できるようになります。経営者やリーダー候補の女性を支援する経営幹部によるメンター制度や、スポンサーシップといった具体的な活動を実行する後押しとして、数値目標は非常に重要です。
(2019年5月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)