不妊治療に要する費用

日本産科婦人科学会の調査によれば、2018年に不妊治療の体外受精によって生まれた子どもは約5万7千人です。新生児の16人に1人にあたります。年間治療件数も年々増え、45万件を超えています。年々増加してきた体外受精などの不妊治療もこの3年程頭打ちになってきています。生殖年齢にある女性の減少が大いに関係しています。
この不妊治療においては、経済的負担が大きな問題となります。現在体外受精などの生殖補助医療は、医療保険の適用外です。NPO法人Fineの2018年調査によれば、総額100万円以上かけた当事者は56%に上ります。体外受精の1周期あたり治療費が50万円以上かかる施設もあります。公的な補助はありますが、所得や年齢、回数などで制限されています。若いカップルにとって、この経済的負担は大変な問題です。経済的な理由で子どもを諦めることがないよう、公的な支援は大切です。保険適用によって、出生数の減少は抑えられるかもしれません。しかし、保険適用を少子化対策に位置付けることには違和感があります。

(2020年11月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。