野村総合研究所の調査によれば、不妊治療を経験した人のうち36.2%が、治療のために仕事を休んだことがあると答えています。転職や退職を経験した人もおり、治療と仕事の両立の難しさを示すデータです。
雇用形態を変えたは12.8%、転職したは5.7%、退職をした(転職をした場合は除く)は8.7%でした。不妊治療のための特別休暇や、治療にも活用可能な長期の休職制度、勤務時間の柔軟性を高める制度など、勤務先で治療に対する支援があるかについては、ないと答えた人は68.5%にのぼっています。不妊治療は経過に応じて次の診察日が決まることが多く、予定が立てにくく、不定期な通院が必要となります。通院や治療をサポートする企業側の制度が少ないことが、両立の壁となっています。
菅内閣では、少子化対策の柱として不妊治療の保険化が提案されています。治療するカップルにとって経済的負担を解消することも大切ですが、治療継続のための職場での支援を希望する声が多く、治療と仕事の両立を考えることがより重要です。
(2021年7月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)