コロナ禍が終わり、学校は日常に戻ったように見えますが、不登校は増え続け、特に小学生で暴力行為が増加しています。文部科学省の調査によれば、不登校の小中学生は過去最多を更新し続け、2023年度に暴力行為をした小学生は5年前の1.7倍に増えています。
国立成育医療研究センターがコロナ禍に小中高の児童生徒とその保護者に実施した調査によれば、受診が望ましい中等度以上の抑うつ傾向が見られた子どもの割合は、2020年が6%、2021年が11%、2022年が13%と増えています。子どもの場合、不調が数年後に現れるケースも多いとされています。小さな変化を見逃さないよう気を配り続けることが大切です。いろいろな人に気にかけてもらうことが安心につながり、不調の予防にもなります。
教育機関でのマスク着用や給食の黙食は、特に低年齢児の言葉の発達やコミュニケーション能力に影響を及ぼした可能性が高く、不登校や暴力行為の増加の一因になっていると考えられています。子どもは大人に比べ、厳しい行動制限による心身への影響が長く続く傾向にあります。

(2025年5月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)