不登校の子どもの対応策

文部科学省の発表によれば、小中学校における不登校の子どもの数が2022年度に29万9,048人となり、前年度比で22.1%増加しています。不登校の急激な増加を受けて、不登校の子どもが学校に復帰することに必ずしも拘らず、不登校であっても、適切な教育を受けられる機会を保障する方向へと、舵を切る動きも見られます。
誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)では、時間割などを柔軟に設定できる不登校特例校の設置促進が掲げられています。文部科学省は、早期に全ての都道府県や指定都市に、将来的には分教室型も含め、全国300校の設置を目指しています。
不登校特例校は、現在全国に24校しかありません。丁寧で工夫した教育が行われていますが、その多くは生徒数が数十人から100人前後と小規模です。300校に増やしても、約30万人の不登校生の一部しかカバーできません。通うには転校が必要で、大抵は通学距離がのびてしまいます。新設には当然時間とコストがかかります。特例校の設置以外では、在籍校への柔軟な登校と自宅学習を組み合わせる手法もあります。既存の学校で、子ども全体に届く支援をどう実現するか、自治体が考える重要なテーマです。
教室にいるのがしんどいという不登校傾向の子どもにとって、居心地の良い、良質の居場所を学校につくることが必要になります。保健室や支援教室、学校であって学校的でないケアの場などです。そして一般の学級がそこに染まり、学びが多様化し学校文化の包摂性が増していくような、同調から共生への学校共同体の再構築が求められます。

(2024年1月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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