感染拡大防止策の一つですが、若い人々は通気性やファッション性の高いウレタンを使ったマスクを着けることも多くなっています。しかし、専門家は、フィルター性能の高い不織布マスクの着用をと呼びかけています。
日本小児科学会らは、2学期の学校活動にあたって、効果的な感染対策を徹底する必要があるとした提言を発表しています。そこでは、不織布マスクの着用を挙げています。家庭の経済的負担軽減のために無償提供を考慮すべきだと訴えています。
ウレタンマスクではなく、不織布マスクにするよう促すのは、ウイルスを含んだ飛沫を通す割合に差があるためです。理化学研究所らの実験によれば、息を吐いたり吸ったりする際に飛沫が通り抜ける割合は、何も着用しない場合を100%とすると、不織布を密着させた場合は吐く時が18%、吸う時が25%です。一方、ウレタンは、それぞれ48%、82%と多くの飛沫が通り抜けています。
不織布であれば濃厚接触者に該当しないケースでも、ウレタンの場合には該当する可能性も出てきます。ウレタンマスクでは、感染するウイルス量にさらされる可能性が高くなります。子どもたちにも、不織布を着けなさいと言うだけではなく、自分を守るためであるという理屈を伝え、正しく着用する意識を高めていくことが大切です。
(2021年10月10日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)