国連の調査によれば、1990年以降世界各国において移民数は増加しています。カナダは人口が少ないために移民を積極的に受け入れてきており、2019年には今後3年で100万人の受け入れを表明しています。オーストラリアやスウェーデンなども移民大国とされています。ドイツは2018年、ドイツ語が話せて職業訓練を受けた人材であれば、就職先が決まっていなくてもドイツに入国して6カ月間職探しをできるようにしています。
しかし、近年は移民の制限に踏み切る国が増えています。米国では、トランプ政権が不法移民対策を強化しているほか、IT技術者が多く利用するH1Bなどの査証の新規発給を年末まで停止しています。英国も欧州大陸からの低技能労働者の受け入れ条件を厳しくしています。
日本は、2019年4月に外国人労働者への門戸を広げるために上限5年の在留資格である特定技能を設けています。技能実習生の多くが3年で帰国するのに対し、技能伝習の期間が延び、より長く働いてもらえます。しかし、政府は基本的に移民政策はとらないとの立場を維持しています。
(2020年10月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)