先進国における移民の増加
先進国は経済的に豊かであったとしても人口が減少してゆきます。一方、途上は貧しくても人口は増えていきます。これまで両者をつなぐ役割を果たしてきたのが移民の存在です。
過去30年、先進国で移民の数は急増しています。1990年と2020年の人口に占める移民の割合を比べると、スペインやドイツで大幅に伸び、オーストラリアやカナダは、全人口の2~3割に達しています。カナダの場合、2050年までに総人口は21%増えますが、移民を除くと4.4%減るとされています。移民を抜きに人口増を考えるのは、極めて難しい時代になります。
米国では、18歳未満の人口で、現在5割を占める非ヒスパニック系の白人の比率が2060年に36%まで下がり、有色人種のほうが多くなります。2060年ごろに、世界でイスラム教徒の人口がキリスト教徒を追い抜くとされています。
(2021年12月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)