世界の出産支援策

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う出生数の急減を受けて、世界は急きょ支援策を打ち出してきています。イタリアは子育て世帯向けの新たな手当の給付を決めています。シンガポールは、子どもがいる世帯への補助額を積み増します。少子高齢化や人口減少は、成長力の低下につながりかねず、対策のテコ入れを急いでいます。
少子化対策を進める台湾は、育児手当などを充実させます。韓国も、2022年から出産時に200万ウォン(約20万円)の一時金と満1歳になるまで毎月30万ウォンを支給する制度が始まります。台湾、韓国ともに出生数が死亡数を下回る自然減となり、コロナ禍での出生数減少は、少子化対策の重要性を一段と浮かび上がらせています。政府は、派遣型のベビーシッターサービスの利用補助を拡充し、妊娠中の女性に有給休暇をとらせた企業に助成するなどの施策を打っています。
先進国を中心に少子化が進む中での感染の長期化という位置づけが強くなっています。経済の先行きは見通しづらく、出生数が回復するかは不透明です。長期的な人口動態も見据えると、出産や育児に対する支援策は世界各国で一層、重要性が増しています。

 

(2021年4月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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