世界の選挙権年齢

日本は、選挙権年齢を18歳と定めています。投票日翌日までに満18歳を迎えれば公職選挙で投票できます。戦後長く20歳でしたが、2016年夏の選挙から引き下げています。18歳は世界で主流になっています。187カ国・地域の9割近くで、議会(二院制の場合は下院)の選挙権年齢は18歳です。
より若い16歳以上に設定している国も7カ国あります。このうちブラジル、アルゼンチン、エクアドル、ニカラグア、キューバの5カ国が中南米です。他は欧州のオーストリアとマルタしかありません。反対に20歳や21歳にならないと認めないのは10カ国・地域でした。バーレーンやレバノン、クウェートといった中東の小規模な国、サモアやトンガといった太平洋の島しょ国などに限られています。
いまや18歳が世界標準と言えますが、かつては21歳が一般的に用いられていました。最も早く18歳に引き下げた地域は、欧州や北米でなく南米でした。多くが21歳以上だった米欧は、1970年頃変化が表れてきました。ベトナム戦争の長期化で、学生らの反戦運動が活発になり、選挙権年齢の引き下げを求める若者の声が強まり、憲法改正で21歳から18歳に下げる動きが出てきました。
日本は、戦後まもなく20歳以上の男女による普通選挙に改めました。それまでは25歳以上の男子でしたが、米欧に比べて日本が先行してより低い年齢に設定しました。具体的な年齢は憲法には明記されていません。15条3項で、成年者による普通選挙を保障すると規定するのみで、18歳への引き下げも公職選挙法の改正によります。

(2021年4月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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