世界人助け指数は、世界の国・地域の人を対象に、過去1カ月の間に見知らぬ人を助けたか、寄付をしたか、ボランティアをしたかを聞き取り、集計したものです。2020年の最新調査で、日本は調査対象の114カ国のなかで最下位です。最下位という結果は、自立した個人として自分の意思で選択し、選択したことについては責任が伴うといった戦後民主主義のあだ花としての現象と思われます。
世界的に見て、貧困率が高い国や経済格差が大きい社会では、一般的信頼が低くなります。日本は他国と比べ、信頼できるの回答率が低率です。日本人は人助けをしないという結果は、日本に格差社会が続いてきたことが影響しています。余裕がない人が多くなり、人助けの意欲も低くなっています。
格差社会を解消するためには、年金に最低保障額を設けるなどして貧困格差を削減することが必要になります。さらに、全ての人の同一価値労働同一賃金を達成する必要があります。余裕が持てる働き方と待遇、老後の生活保障が進めば、一般的信頼や人助けの意欲は自ずと高まってくると思われます。
(2022年6月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)