世界終末時計とは

世界終末時計とは、核戦争などによる人類の絶滅を午前0時になぞらえ、その終末までの時間を「0時まであと何分」という形で、象徴的に示す時計です。「運命の日」の時計とも呼ばれています。実際に動く時計ではなく、時計の45分から正時までの部分を切り出した絵で示されます。米科学誌原子力科学者会報が発表しています。
同誌の表紙に登場した1947年は、7分前でした。米国に続きソ連が原爆開発に成功した1949年に、3分前まで進みましたが、冷戦終結後の1991~1994年には17分前に戻りました。昨年までの最短は、米ソの水爆開発が本格化した1953~1959年と、トランプ政権発足後の2018~2019年の2分前でした。その後、INF全廃条約失効などで、今年1月に100秒前に迫っています。
広島・長崎が被爆して、今年75年を迎えました。75年前の数百倍の威力の核が使われる危険性は、第2次世界大戦後で最も高いとされています。今日、核戦争が起きれば、数百の都市と数千万人の命が失われ、世界規模の環境破壊と文明の終わりにつながります。核兵器削減と最終的な全廃に向けて、全世界的な取り組みが必要です。わが国も唯一の被爆国として、もっともっと声を上げるべきです。終末時計の針を戻す努力が大切です。

(2020年8月6日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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