日本経済新聞の調査によれば、2023年度の採用計画に占める中途採用の比率は過去最高の37.6%となり、2016年度から7年で2倍に上昇しています。新型コロナウイルス禍の収束に伴い、流通・サービス業など現場・対面の業務が多い企業の積極的姿勢が目立っています。デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速により、専門人材を中途採用で確保する動きも広がっています。
背景にあるのは構造的な人手不足です。少子高齢化に歯止めがかからない中、15~64歳の国内生産年齢人口は、1995年をピークに減少し、2030年には2022年比7%減の6,875万人と、ピーク時の8割の水準まで減る見通しです。日本は、労働法制や社会保障制度も終身雇用を前提にしている部分が多くなっています。企業の解雇には厳しい条件が課され、勤続年数が長い社員が退職金などで優遇されます。生産性の高い産業分野に人材をシフトするため、労働市場の構造変化に対応した、日本型雇用の作り直しが求められています。
構造的な人手不足を背景に、長く日本の標準だった新卒一括採用が終焉を迎えつつあります。流動化を前提にした新たな雇用システムの構築が不可避です。日立製作所や富士通は、国際標準のジョブ型雇用を軸とした仕組みづくりに動き出しています。働き手のキャリア自律を促し、企業の成長と両立させる仕組みが模索されています。
(2023年4月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)