政府は、中長期の経済財政に関する試算で、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化を2029年度とする2020年7月の見通しを維持しています。政府は2025年度の黒字化目標を取り下げない考えですが、新型コロナウイルスの感染再拡大により、経済と財政の先行きは一段と不透明感が増しています。
経済協力開発機構(OECD)によると、2021年のPB赤字は、日本がGDP比5.3%だったのに対し、米国は9.6%とさらに大きくなっています。しかし、国際通貨基金(IMF)によると、2020年の日本の債務残高は、GDP比で266%と米国の倍です。危機を乗り越えるためには大規模な財政出動が不可欠ですが、中長期的に財政悪化に歯止めをかける道筋も同時に示さなければなりません。
(2021年1月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)