デロイトトーマツグループと三井住友信託銀行が上場企業970社を対象に実施した調査によれば、2021年度において取締役に女性・外国人とも登用していない企業は48%でした。女性取締役がゼロとなる企業は51%に達しています。欧米では、企業経営に多様な視点を取り入れることは競争力に直結するとの考えから、取り組みを加速させていますが、日本ではなかなか改善がみられていません。
6月改訂のコーポレートガバナンス・コードでは、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用などの多様性の確保の考え方、目標、状況を公表すべきとしています。欧米では、ほとんどの企業が女性取締役を登用し、いずれも取締役総数の3割を女性が占めています。日本企業の中には、取締役の顔ぶれを大きく変えることへの抵抗は根強く、会社をよく理解した上で議論できる人材が育っていない、外部からの採用も競争が激しく難しいとの意見が多くみられます。わが国でも、候補者の育成を早急に進め、多様性ある経営を企業成長に結びつけていくことが求められています。
(2021年12月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)