主要国の公務員制度の比較

公務員制度は大きく2つに大別されます。公務員制度は、公務員に何をさせるかという哲学に基づいていますが、能力で選ぶ資格任用か、政治家が選ぶ政治任用かです。前者では専門性に基づく分析や検討が重視され、英国が代表例です。後者では政治的な調整が重視され、米国が代表例となっています。しかし、英国でも政治任用の首相や大臣の特別顧問がいます。米国でも部課長までは資格任用が原則です。
日本の問題は、一般公務員は資格任用が建前なのに、現実には政治任用しうることにあります。また、外部からの登用も限定されてきました。これが閉鎖型です。英国では、首相・大臣に公務員の直接的な人事権はありません。政治家を忖度しないようにするためです。他方、資格任用を貫くため、幹部は特に公募が重視されています。これが開放型です。政治家と官僚は役割分担が必要であり、そのための公務員制度が求められています。特に応答性を求める政治任用と専門性を求める一般公務員の区別が必要となります。

(2019年8月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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